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思い付くまま『ファミコン神拳』

Game Book

数か月ぶりの更新。今回は発売から少し時間が経ってしまいましたが、ファミコン世代にとって血反吐を吐いてシャウトしたくなる程に懐かしい一冊を紹介。

週刊少年ジャンプ秘録! !  ファミコン神拳! ! ! (ホーム社書籍扱コミックス)

週刊少年ジャンプ秘録! ! ファミコン神拳! ! ! (ホーム社書籍扱コミックス)

ファミコン神拳』と言えば、ファミコンブーム真っ只中の1985~1988年に「週刊少年ジャンプ」で連載されたゲーム紹介記事。……と言うよりも、「堀井雄二が執筆を手掛け、『ドラゴンクエスト』が誕生する切っ掛けとなった場所」として、日本ゲーム史において永久に語り継がれるべき存在。
特に袋とじが再録されているのは嬉し過ぎる!当時の人気ゲームの裏技こと「奥義」や、『ドラクエ』の最新情報がリアルタイムで掲載されていて、ファミコンブームや『ドラクエ』誕生時の雰囲気や空気感が蘇ってくるぜ。







■伝承者たちの裏話満載
タイトルに『秘録』とあるだけにスタッフ……もとい「伝承者」による座談会や個別インタビューも掲載。特に発足時のメンバーである「マシリト」こと鳥嶋和彦、「ゆう帝」こと堀井雄二、「ミヤ王」こと宮岡寛の三氏による裏話は読み応え充分。三人とも『インベーダーゲーム』以来のゲーム好きで、それが高じてパソコンのRPGウィザードリー』にハマり、公私混同状態よろしく「ジャンプ」でパソコン特集をして、その流れでファミコンへ…。というのが笑える。
ファミコン神拳』も最初は『ゼビウス』や『スターフォース』の無敵コマンドといった「奥義」で注目を集めたけど、ゲーム専門誌が本格的に登場すると差別化のため方向転換。「自分たちでゲームを作って、その情報を独占紹介しよう!」というコンセプトで誕生したのが『ドラゴンクエスト』なのだから、伝承者たちの慧眼には驚かされるばかり。
袋とじ採録の『ドラクエ』記事を読むと、「これがアレフガルドの地図だ!」と手書きのイラストが載っていたり、「全モンスターのデータだ!」でシンプルな表で紹介されていたり、当時ならではの「手作り感」に溢れている。
ドラクエ』も今年で誕生30周年を迎えて、ゲームの枠を超越した一大産業となったけど。その創成期を感じられる意味でも貴重な資料となるはず。

■ポスト『ドラクエ』は『ファミコンジャンプ』か?
ドラクエ』と共にメインになっていたのが、「ジャンプ」連載漫画のゲーム化作品。
1988年春、『ドラクエ』シリーズが『3』で一区切りを迎えるのに合わせて、『ファミコン神拳』も『月刊ファミコン神拳』にリニューアル。その時に大々的に発表されたのが「ジャンプ」を丸ごとゲーム化した『ファミコンジャンプ』だったりする。でもその出来栄えは……まぁ伝聞の通り。
『秘録』に収録されている座談会でも堀井氏が「バンダイが作るジャンプのキャラクターゲームが記事にしづらかった」とカミングアウトしてるし、宮岡氏に至っては『ファミコンジャンプ』の攻略本を作った伝承者に対して「それはご愁傷さまだったね」とぶっちゃけている。なお、『ファミコンジャンプ2』は堀井氏直々に手掛けるも……曰く「キャラクターが多すぎて難しかった」とのこと。
諸々の歯車が思いっ切り間違っていたら、『ファミコンジャンプ』シリーズが『ドラクエ』シリーズに続く『ファミコン神拳』発祥の人気ゲームになっていたのかも……いや、それはまず無いか。
ファミコンジャンプ英雄列伝

ファミコンジャンプ英雄列伝

ファミコンジャンプII

ファミコンジャンプII



そんなワケで「ファミコン世代」にも『ドラクエ』好きにも「ゲームファン」にも堪らないこの一冊。懐かしさはもちろん、若きクリエイター達による青春群像モノとしても楽しめて、特に子供時代に『ファミコン神拳』を読んでいた大人たちへの時を超えたエールにも思えてしまう。一度ならず、何度も繰り返し読んで、楽しんで元気になれそうな一冊だ。