語ろう!『キャプテン翼』~アニメのリメイク編~
今回はサッカーアニメの名作、否、「デファクト・スタンダード」(=事実上の標準)と呼ぶべき人気と知名度と影響力を誇る『キャプテン翼』について。この4月から通算4回目、リメイクとしては実に3回目となるアニメ版が始まったワケですが、今回は過去2回のリメイク版について色々と書いてみます。
キャプテン翼 COMPLETE DVD-BOX 1〈小学生編・前編〉
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キャプテン翼 COMPLETE DVD-BOX 2〈小学生編・後編〉
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キャプテン翼 COMPLETE DVD-BOX 3〈中学生編・前半〉
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キャプテン翼 COMPLETE DVD-BOX 4〈中学生編・後半〉
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通常のリメイクはファンの「代替わり」を想定して、10年単位で行われるのが普通です。しかし『キャプテン翼』の場合は最初のアニメ化が1983~1986年、続編OAVのリリースが1989~1990年。それから数年おきとなる1994年と2001年に、2回もリメイクが行われました。
その背景には作品自体よりも現実世界、ズバリ言えば現実の日本サッカーにおける、未曾有のムーブメントがあったのです。
■『キャプテン翼J』(1994年10月~1995年12月)
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キャプテン翼 (ワールドユース編1) (集英社文庫―コミック版)
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そして、当時すでに原作漫画の連載もアニメ版の放送も終了し、過去の作品となっていたはずの『キャプテン翼』も、その「源流」として再び注目されるようになりました。
それを受ける形で、1994年の春には原作漫画が『ワールドユース編』として連載再開。そして同年の秋から放送開始されたのが、この『J』でした。原作漫画が「続編」であるのに対して、『J』がアニメ1作目の続編ではなく「リメイク」となったのは、一連のサッカーブームが切っ掛けで『翼』を知った、あるいは興味を持ったという新規ファンへ向けたためと思われます。
そんな『J』ですが、特番などで放送休止が相次いだこともあり、1作目ほどの爆発的人気を得るには至らず。シリーズの最初に当たる「小学生編」を約1年かけて描いた後は、放送時間をローカル枠に移して『ワールドユース編』の最序盤を1クール(3ヶ月)で描き、事実上の打ち切り終了となりました。
「小学生編」放送当時のアニメ情報誌にはスタッフが「中学生編のシリーズ構成を考えてます」とコメントを寄せており、本来であれば1作目同様に数年単位の放送期間で、原作漫画の既存分を全てアニメ化する構想だったと思われます。
それだけに、何とも残念な結果に終わったのが「最初の」リメイク版でした。
■『キャプテン翼<2001年版>』(2001年10月~2002年10月)
キャプテン翼 ROAD TO DREAM GOAL.1 [DVD]
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「キャプテン翼」ミュージックフィールド GAME.3/岩崎文紀,多田彰文(CCCD)
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キャプテン翼 ~ 新たなる伝説・序章 ~ (コナミ ザ ベスト)
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キャプテン翼 ROAD TO 2002 1 (集英社文庫―コミック版) (集英社文庫 た 46-40)
- 作者: 高橋陽一
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1997年に日本代表チームがアジア予選を勝ち抜いて、1998年のフランスW杯へ念願の初出場を果たしました。それに先立ち、2002年W杯を韓国と共同開催することが決定。これを受けて2000年には原作漫画の新シリーズとして、翼たちが欧州のプロリーグで活躍する『Road to 2002』が連載開始。そのアニメ化と言うべきリメイク版が、この『<2001年版>』です。
今回は放送期間が予め1年間と決まっていたらしく、まずは「成長してブラジルでプロとして活躍する翼の回想」という形で小学生編からスタート。そして駆け足で中学生編・Jrユース編まで描いた後、原作漫画の『Road~』をベースにして、プロで活躍する翼たちの姿を描きました。
そんな『<2001年版>』の大きな特徴は、現実のサッカー界とのタイアップ色が強い点。劇中で描かれるサッカーボールは2002年W杯の公式球「フィーバーノヴァ」で、Jrユースの「日本代表」となった翼たちのユニフォームも、現実の日本代表ユニフォームと同じデザイン。もちろん正式許諾を得た上で描かれていました。
W杯への出場と開催を果たすまでに発展を遂げた日本サッカーにおいて、『キャプテン翼』と大空翼がその「日本サッカーの象徴」として描かれたのが、「2回目の」リメイク版だったと言えるでしょう。
そして2回目のリメイク版終了から16年、最初のアニメ化から実に35年を経た今年、『キャプテン翼』は通算4回目の、リメイクとしては3回目のアニメ化を果たしました。その要因は何なのでしょうか。
原作漫画は『Road~』を引き継ぐ形で、幾度かの改題を経ながらも連載中です。日本代表が今回"も"出場を果たしたW杯も、チームが全国各地に増えて広がったJリーグも、すっかりお馴染みの存在となりました。
過去2回のリメイクはJリーグ開幕やW杯初出場&自国開催という、日本サッカーにおける未曾有のムーブメントが背景にありました。それを経た現在では、サッカーがお馴染みな世の中になりました。
そんな時代に敢えて『キャプテン翼』がリメイクされるのは、「かつてサッカーブームを起こし、現在の日本サッカーの土台を築いたサッカーアニメ」という輝かしくも時に重荷となる看板を、ようやく降ろせるようになったからでは…。そして「お馴染みのサッカーアニメ」として、改めて多くの人に観て欲しくなったからでは…。
『キャプテン翼』のアニメを1作目から観ている者としては、懐かしくも新しい「翼くん」の活躍を観るにつけ、そんな感慨を抱いています。