思い付くまま『Bugってハニー』
久々の更新。今回はファミコン世代にとっては懐かしすぎるアニメ『Bugってハニー』について紹介。
TVアニメーション「Bugってハニー」放送30周年記念 Bugってハニー ~COVER COLLECTION~
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かくいう僕も、いわゆるファミコン世代であり、『Bugってハニー』もリアルタイムで毎週観ていたクチなので、この流れは嬉しい限り。そんな嬉しさと懐かしさに任せて、色々と書いてみる。
■「高橋名人アニメ」にして「ハドソンオールスターアニメ」
『Bugってハニー』の原作にあたるのが、放送開始の前月(1986年9月)にハドソンから発売されたファミコンゲーム『高橋名人の冒険島』。当時「ファミコン名人」として大人気だった高橋名人をキャラクター化したゲームで、それをアレンジしてアニメ化したという。即ち「ゲームが原作のアニメ」としては恐らく初であろうという記念すべき作品。
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物語のあらすじは・・・・・・ゲーム大好きの少年少女三人組がゲーム世界に召還されて、高橋原人や妖精ハニーと共に、悪のキュラ大王を倒すべく様々な面(エリア)を冒険する、というもの。その面というのが中華風あり西部劇風あり時代劇風ありRPG風ありと毎回個性的。しかも、アクションシーンでは「ゲームの中の世界」という設定を活かして、当時のゲーム風(いわゆる8bitで今で言うレトロゲーム風)の画面になる。そこで流れるBGMもハドソンから発売されていたゲームのBGMをまんま使っているのが心憎い。それこそ「これは『スターソルジャー』でラザロが合体する時のBGMだ」とか「これは『ロードランナー』のステージクリアのBGMだ」とか、ファミコン好きには堪らない。
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また、当時ハドソンから発売されていたゲームに因んだキャラやストーリーも随所に織り交ぜてある。『ボンバーマン』や『チャレンジャー』のキャラが唐突に現れて原人たちを助けたり、ゲストキャラで『迷宮組曲』の主人公・ミロンや『新人類』の主人公・マックスが登場したり、ハドソン初のRPG『ファザナドゥ』の発売に先駆けてRPG風のストーリーが展開されたり、この辺はゲームメーカーがタイアップした作品らしいと関心してしまう。
シリーズ後半からは高橋名人の後輩(=ハドソンの社員)である川田名人をモデルにしたキャラ「カワダ・チュー」がレギュラー入りしたり、同じく島田名人が『ヘクター87』で高橋原人とゲーム対決したり。さらには映画をテーマにした話で「この夏に最高の映画を作る!題名は『はっちゃき先生の東京ゲーム』だ!」と、高橋名人主演の映画をモロに宣伝したり。当時のファミコンブームを、否、「高橋名人ブーム」にして「ハドソンブーム」をリアルタイムで体験した元・キッズたちには堪らないキーワードが続々と登場する。
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【ファミコン】 STAR FORCE(スターフォース) 【カセット】 HFC-SF
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■「おたよりちょ~だぁ~い~」(byスケルトン)「たまりましぇ~ん~」(byキュラ大王)
さて、個人的に特筆したいのが悪役キャラの面白さ。
敵の大ボスであるキュラ大王は、普段はゴツくて強面で、毎回あの手この手で悪事を企てるけど、詰めが甘くて毎回原人たちに阻止されるのがお約束。しかも一人称が「僕ちゃん」で、ハニーにゾッコンでメロメロ。滝口順平さんの演技も相まって、何ともユーモラスなキャラになっている。
シリーズ後半に登場するのがキュラ大王の兄であるダイキュラー。成りは小さいけれど、演じるのが永井一郎さんだけ合って威厳は充分。毎回失敗を繰り返すキュラ大王を「バッカモン!」と波平ヴォイスで怒鳴りつけるのは何ともコミカル。
滝口さんも永井さんも他界されて久しいけど、こうして往時の名演技を楽しめるのは、本当にいいことだ。
そして最も笑わせてくれたキャラが、キュラ大王の部下であるスケルトン(CV:千葉繁←超重要)。キュラの命令で原人たちに戦いを挑むも毎回返り討ちにあったり、時にはキュラやダイキュラーに毒づいたり、己の境遇を愚痴ったり。そんなセリフの端々に「~ばい!」「ばってん~」という熊本弁が混ざっているのを聴くと「千葉さん(熊本出身)がアドリブを織り交ぜながらノリノリで演じているんだろうなー」と思ってしまう。
そんな悪役たちも最後は(済し崩し的に)改心して原人たちとも和解。みんな揃ってハッピーエンドを迎えるのもこの作品の魅力だ。
■30年後の『Bugってハニー』
そんな痛快作『Bugってハニー』が終了したのが1987年9月。そしてハドソンも「ファミコンでやれることはやり尽した!」と言わんばかりに、ファミコンの対抗機種となる新ハード「PCエンジン」を開発。ファミコンゲームのリリースは続けつつも、活動の主軸をPCエンジンに移すことになる。そして高橋名人もPCエンジンの宣伝に専念すべく「ファミコン名人」としての活動を封印して、「ハドソン宣伝部・高橋利幸」に戻っていった。即ち、『Bugってハニー』は、高橋名人とハドソンが「ファミコンへかけた夢」の集大成だったとも言える。
…それから30年。ハドソンは数年前にコナミへ吸収合併される形で消滅。それに先立ってハドソンを退社していた高橋名人は、自身でゲーム会社を立ち上げる傍らで「ゲームプレゼンター」としてゲーム関連のイベントや番組に出演。かつてのファミコン名人時代と変わらず、ゲームの魅力を広く世間に伝え続けている。また先頃は『しくじり先生』にも出演して、当時の思い出を(自嘲的なニュアンスを含めて)語って話題にもなった。
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30年経っても、高橋名人とハドソンが遺した色々な物は、今でも確かに残っている。その代表格である『Bugってハニー』を、興味のある方はご覧になって下さいな。