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思い付くまま『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(2)

『THE ORIGIN』について思いつくまま書いてみる企画の2回目。
今回はアニメ1話の上映に合わせて刊行された単行本24巻について書いてみる。





■戦後のセイラは?アムロは?
今回の24巻は「特別編」と銘打っているように、公式ガイドブックや、連載終了後の「ガンダムエース」に掲載された短編を収録したもの。
本編1話(サイド7へのザク潜入)の直前を描いた「その前夜」は、潜入作戦直前のムサイ艦の緊張感溢れる雰囲気と、サイド7におけるアムロたちの日常風景が対照的に描かれている。
宇宙世紀における最も古い時代を舞台にしたのが「キャスバル0057」は、ジオン公国の独立運動最初期が学生運動風に描かれている。後にジオン建国の父となるダイクンも、当時は一介の大学教授(でも内乱予備罪で逮捕状が出ている)。デギンやギレンも、大学の学部長だったり学生運動家だったり。本編に登場する王侯貴族的な雰囲気を称えたザビ家とは、全く異なるイメージで描かれている。


以上の2編が過去を描いた読切なら、続く2編は最終回のその後を描いた後日談になっている。
アルテイシア0083』はカイがミライの依頼で、地球で暮らすアルテイシアことセイラの元を尋ねる話。そして『アムロ0082』は、ハヤトとフラウがアムロと久々の対面を果たす話。
ホワイトベースの面々の戦後模様も描かれていて、カイが新聞記者を名乗っていたり、ミライが既にブライトと結婚して息子のハサウェイが産まれていたり、ハヤトがフラウとの結婚を決意していたり。この辺はファーストガンダムの続編である『Zガンダム』の設定を逆輸入している。そして何より、セイラとアムロはどんな戦後を過ごしていたのか……。それは読んでのお楽しみ。
ひとつ言える事は、セイラもアムロも前向きに未来を見据えて生きているということ。


ティターンズネオジオンも無い未来
今回の後日談はアムロたちの戦後模様をミクロ的に描いてて、戦後の連邦やジオンがどうなっているかというマクロ的な部分は殆ど描かれていない。物語的にも「セイラやアムロを狙うジオンの残党と、それを阻止する連邦」という展開だけど、それはメインテーマではないらしい。ジオン残党と連邦の攻防も、(恐らくは意図的に)コミカルに描かれている。
さらに言えば、モビルスーツも申し訳程度にしか登場せず、活躍するどころか迷惑がられたり、とんでもないポンコツで登場即大破という有様。それこそ「モビルスーツで戦争なんて、もう止めようよ」と言わんばかりに扱われている。


本家本元のガンダムシリーズでは、一年戦争の後もジオン残党がテロを仕掛けたり、それに対抗する形で先鋭化した連邦がティターンズを結成してスペースノイドを弾圧したり、その混乱に乗じてネオジオンが(2度に渡って)誕生したり、延々と戦争紛争が続いている。それに巻き込まれる形で、アムロたちも過酷な障害を歩み続けることになるのはご存知の通り。
でも『THE ORIGIN』の後日談を読んだ感じだと、そんな未来は無さそうな気がする。否、あって欲しくないというのが本音かな。


でも『Z』以降とは異なるであろう、『THE ORIGIN』ならではのアムロやセイラの「その後の物語」があるとしたら、ぜひとも読んでみたいもんだ。