声優さんアーリーデイズ特集(丹下桜編)
ベテラン声優さんの若き日の出演作を紹介する企画「アーリーデイズ」の再開第3弾。
今回は丹下桜さんのアーリーデイズを紹介。
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……というワケでここでは、丹下さんが2000年に声優活動を一時休止するまでの出演作品から、現在DVDがリリースされている作品を中心に紹介します。
■1994年『ママレード・ボーイ』(佐久間すず)
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丹下さん演じる佐久間すずは、シリーズ後半から登場。家庭教師のアルバイトを始めた遊の教え子で、いわゆる「引っかき回し系の後輩キャラ」。丹下さんの初々しい演技も相まって、何ともコケティッシュな魅力に溢れている。デビュー作でありながら、すでに「This is 丹下桜」と呼ぶべき名刺代わりのキャラ。
■1995年『ときめきメモリアル』(秋穂みのり)
「あなたの恋のサポーター、丹下桜です!」(←至高の挨拶)
ご存知、恋愛シュミレーションゲームの礎を築いた不朽の名作。丹下さんは同作をフィーチャーした文化放送のラジオ番組『もっと!ときめきメモリアル』のパーソナリティに(ゲームには出演していないにも関わらず)抜擢され、その可愛らしいヴォイスから紡ぎだされる恋愛トークが爆発的人気をゲット。その勢いに乗って「丹下桜用キャラ」として秋穂みのりが設定され、ラジオドラマへ逆輸入よろしく出演を果たした。
ラジオ番組は一旦終了するものの、ファンからの熱い要望によって「月刊ラジオCD」として継続し、1997年からは『もっと!モット!ときめきメモリアル』として復活。また、丹下さん自身もゲームの発売元であるコナミのレーベルからアーティストデビューするなど、「ラジオパーソナリティ&アーティスト・丹下桜」としてブレイクを果たすことになる。
■1998年『アンドロイド・アナ MAICO 2010』(MAICO)
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アンドロイド・アナMAICO2010/音楽編アルバム1?MAICO印の選曲屋さん
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アンドロイド・アナMAICO2010/音楽編アルバム2?ゆきえちゃんと愉快な仲間たち
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(放送当時から見て)近未来である西暦2010年のニッポン放送を舞台に、バーチャルアイドルならぬ「アンドロイドアナウンサー」として開発されたMAICOのポンコツ…もとい活躍を描くコメディ。
MAICOを取り巻くキャラも「無茶な番組を押し付けられたディレクター」「うだつの上がらないAD」「スポンサーの顔色をうかがう編成部員」と、業界モノらしく世知辛い面々ばかり。だからこそ、アンドロイドという非現実的な存在であるMAICOの無邪気さが際立っていた。
あと、丹下さんがMAICO名義で歌っている主題歌『MAICOは踊る』は今でいう「電波歌」で、一度聴いたら忘れようとしても忘れられない強烈さなので、興味のある方は御一聴くださいな。
■1999年『トラブルチョコレート』(ヒナノ)
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作品の舞台は魔法が当たり前のように存在する世界の学園で、丹下さん演じるヒナノは突然人間の美少女になってしまった天然ボケの妖精さん。口癖の「わっちゃ!」「じゅうぶんです!」も相まって、凶悪な可愛らしさ。
で、物語の方は……なんとも説明が難しいドタバタコメディなので、とりあえずご覧になって下さいな(投げやり)。
なお、OP曲とED曲(後半)も丹下さんが氷上さんとのデュエットで歌っていて、しかも当時アニメに進出したばかりのavexが音楽に関わっていたから、このOP&EDも「avex感」が溢れる曲になっている。特にEDは松田聖子の名曲『あなたに逢いたくて』のパラパラ風カヴァーバージョンという変化球ぶりだぞ。
■1999年『無限のリヴァイアス』(和泉こずえ)
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丹下さん演じる和泉こずえは、一見すると作品世界から浮いている天真爛漫なキャラ。お遊び色が強いCDドラマでは「中の人ネタ」で「魔法少女になりまーす!」なんてセリフもあったり。しかし、絶望的な逃避行の末に艦内のフラストレーションが極限に達した時、その性格が乗員たちの怒りを買って……。シリーズ終盤の悲劇のトリガーを引く重要なキャラ。
丹下さん自身も、こずえを演じるのには随分苦労したらしく、特に共演した桑島法子さんには「"あんな酷いセリフ"を言ってゴメンね!」と謝るほどだったとか。
…という具合に、丹下桜さんの休業前の代表作をチョイスして紹介してみました。例によって、2000年頃以前(映像ソフトがVHSとLDの時代)の作品はDVD化されていないのも多く、今では視聴が難しいのは残念な限り。
特に『MAZE☆爆熱時空』シリーズ(1996~1998年)がDVD化されていないのは、返す返すも残念。当時のヒットメーカー・あかほりさとる氏の小説をアニメ化した作品で、OAV⇒テレビシリーズ(当時としては先駆的だった深夜枠での放送!)⇒劇場版と、メディアミックスを一巡する程のヒットとなった。その内容も、今ではお馴染みとなった「主人公が異世界転生」で、更に「昼は女性、夜は男性」というTS(性転換)要素も含んでいたのだから、まさに時代を先取り。そして何より、丹下さん演じるヒロイン・ミルの凶暴なまでの可愛らしさ!口癖が「うきゅ!」で、主人公を「オネニーサマ!」と呼んで纏わり付くウザ可愛さ。しかも設定によると「両性具有」、つまりフ●ナリだとか。…丹下桜がフタ●リなヒロインを演じていたとわ……何というお宝な作品なんだぁぁぁぁぁぁーっ!!!
いかんいかん、本来紹介するはずじゃない『MAZE』について熱く語ってしまった。
さて、丹下さんのアーリーデイズを振り返った印象ですが、『ときメモ』『MAICO』『トラチョコ』のように丹下さんがラジオで携わった作品が目立つ。もっと言うなら丹下さんがブレイクする切っ掛けが、出演作品やそこで演じたヒロインではなく、ラジオパーソナリティとしての「丹下桜本人」で、そこから後追いする形でアニメ出演を重ねて人気キャラを演じるようになった。
出演作品や演じたキャラよりも先に、声優本人の魅力でブレイクを果たす。そんなキャリアを歩んできた丹下桜さんは、90年代に誕生して今につながる、本当の意味での「アイドル声優」の先駆けだと感じます。