フレーズ付きで紹介したいアニソン Track05~荘真由美「わたしと踊ってくれませんか」(『Bugってハニー』)~

歌詞からアニソンの魅力を多くの人に知ってもらいたい!
フレーズ付きでアニソンを紹介してると嬉しい!!
・・・というアニソン好きのアナタにお送りする、ちょっぴり贅沢なコーナーをチェケェラッ(σ・∀・)σチョォォォォォォォ!!!!!


というワケで久しぶりとなった今回も僕が独断と偏見と個人的な趣味趣向で選んだお気に入りアニソンを、その魅力をより深く語るために敢えてフレーズを「引用」して紹介します。


なお「引用」であることを強調しているのは……まぁ察して。


今回紹介するアニソンは"ファミコン"大好きな(元)ファミっ子ならお馴染みのアニメから、意外と知られていないこのアニソンだ!!

時を忘れ私と 踊ってくれませんか
いつかの映画みたいな ステップ踏めないけれど
素顔のままの私と 踊ってくれませんか
二人の影が一つに 溶け合うまで



■わたしと踊ってくれませんか(『Bugってハニー』ED:荘真由美





■『Bugってハニー』最後のエンディングナンバー
『Bugってハニー』は1986年10月~1987年9月に放送された、日本アニメ史上初の「テレビゲームを原作としたテレビアニメ作品」。当時のファミコンブームを背景にゲームメーカーの「ハドソン」が企画して、子供たちに絶大な人気を誇った"ファミコン名人"こと高橋名人ファミコンゲーム『高橋名人の冒険島』をフィーチャーしてアニメ化。OPやEDも高橋名人が歌唱した事でも話題となりました。
そしてこの「わたしと踊ってくれませんか」は最終クールとなる第41話(1987年7月)からEDとしてオンエア。また、当時公開されていた同作の劇場版『メガロム少女舞4622』でも挿入歌として使用されていました。
『Bugってハニー』は明るく楽しい子供向け冒険ギャグアニメでした。しかし最終クールのEDを飾ったこの曲は、大人の恋愛に憧れる少女(子供)の想いを歌った曲でした。イントロのピアノとコーラスから惹きつけられるメロディライン、メルヘンティックな歌詞、初々しいヴォーカルが絶妙のハーモニーを奏でています。


■「わたしと踊ってくれませんか」の三者三葉
そして何より、この曲を作り上げた作曲者・作詞者・歌唱者は、それぞれが三者三葉な異なる経歴を歩んでいました。
作曲の小林亜星さんは『魔法使いサリー』『科学忍者隊ガッチャマン』『超電磁ロボ コン・バトラーV』など数多のアニメソングを手掛け、当時すでに音楽界の大御所作曲家でした。『Bugってハニー』でも高橋名人が歌うOPや前期EDも手掛けており、その流れで続けてこの曲も手掛けています。
一方、作詞の岡かすみさんは『Bugって~』のシリーズ構成と脚本も担当。他にも同時期に作成されたハドソン制作アニメや高橋名人の楽曲で脚本や作詞を手掛けています。その正体は長らく非公表でしたが、近年の関係者(高橋名人など)の証言によると「ハドソン」の社長夫人(本職はデザイナー)だそうです。即ちゲーム業界という、当時としては新興の異業種から現れた作詞家でした。
さらに歌唱を担当した荘真由美さんは『ドラゴンボール』のチチ役や『美味しんぼ』の栗田ゆう子役などでお馴染みの声優。当時は新進気鋭の若手声優として注目されていて『Bugって~』にも劇場版でゲストヒロインのアイドル・舞を演じ、彼女が劇中で歌うキャラクターソングとしてこの曲を自ら歌唱。そして作品のフィナーレを飾る「最後(後期)のED曲」にも抜擢されました。

■35年後の「わたしと踊ってくれませんか」
そんな『Bugってハニー』の放送から35年が経ち、「わたしと踊ってくれませんか」を作ったお三方にも等しい歳月の流れと、それぞれの運命の移ろいがありました。
小林亜星さんは今年(2021年5月)に惜しまれつつ他界。それに先んじてゲーム会社「ハドソン」も2012年に同業他社の「KONAMI」に吸収合併される形で消滅。これによって同社の作品に携わっていた岡かすみさんも表舞台を去りました。そして荘真由美さんは出産育児による休業を経て、現在は声優事務所の運営に携わり、講師として後進の育成に当たっています。


それを鑑みると、この「わたしと踊ってくれませんか」は大御所・異業種・若手がそれぞれのキャリアが交錯する運命的なタイミングで出会って作られた一期一会のようなアニソンです。残念ながら上記紹介のCD盤に収録されているのはテレビサイズやカヴァー版なのでオリジナル版フルサイズを聴くのは困難ですが。それでもぜひ聴いてほしい一曲です。